石英

らくがきとプレイメモ

まんが

『夏目アラタの結婚』映画化の報と完結に物語を振り返ると裁判中における品川環の人物像の描写が真っ先に浮かんできて、短いのに的確で乃木坂先生のまんが表現技法に打ちのめされる。12巻全巻通してこのシーンが一番好きってひとは読者中そんなにいないだろうけど……。藤田さんは脳内で勝手に黒田大輔をキャスティングしていたのでもしそうだったら奇跡だなー。柳楽優弥には間違いがないと勝手に信頼しているので渡り合える宮前が誰なのかも気になるところ。
#まんが

『はじめてのひと』8巻
カナちゃんが印象の強い子だったのでKindleの一覧を見てびっくり。今回が意外にも表紙はじめてのひとなんだなどとくだらない冗談を思いついてしまった。もっともこんな時間に感想を上げる熱で暴れてる自分で察せという状態でもあるのですが。こういうときの感情を的確に表現する妥当なことばが見当たらずとりあえずはちきれそうって叫んでいますが、まさにはちきれそうです。
シェアードユニバースが大好きなので、登場人物内で主役がタッチ交代してそれぞれの生きてる時間が描かれる作品はど真ん中だし自分もオリジナル創作の世界観を構築するときはほぼ必ずそういうていで舞台装置を組み立てるんだけど、上手い人が描くとこうも極上な物語が編めるんだなぁとしみじみ尊敬してしまう。過去作品のほぼすべてを読んでいる谷川先生のシリーズの中で一番を選べと言われたら間違いなくこのシリーズが好きだ。デビュー作から追いかけてる方って大抵は初期〜中期くらいにどハマりする一作があってその後は自分の加齢とともにズレを感じることが殆どでいつもその感じにほのかな悲しさを抱くんだけど、谷川先生は一緒に年を拾いながら懐古しつつも今せつない物語を描いてくださるので心のポケットに常に忍ばせてるイメージを持っており。
そして今回収まってる二組もまたどちらもままならなくてみぞおちがぎゅーっとなるのよね。鳥野くんは本質的には恋愛がない一生であっても……いや、それどころか他人に伴走してもらわなくてもひとりで生きていけるだろうけど、そういうひととウッカリ営みを育んできてしまったカナが恋愛を燃料にして人生を謳歌する真逆のタイプだから、それを客観視してる読者の自分は「別れたほうがいいよ合わないでしょ」「でも別れたくないよね、分かるよ」というダブスタで揺れ続けてしまうー。
でも全登場人物には幸せになってほしいな。谷川先生の作品は過去すべて通しても悪人と言えるようなひとは出てこない。近年ネット私刑がますます加熱する不倫を描いていてすら嫌悪よりも魅力が勝ってしまう諏訪内さんと与のふたりなんて、もう、もうお互いが好人物過ぎて惹かれ合ってしまったことを否定できないもの。しかもそれでいてアンモラルな関係を美化はしていなくて、しっかりと否定してくれる白石くんがまたいい子なんだよ、物分かりのよさと食い下がる感じのバランス感覚が。そして失恋とその修復の物語に絵画修復師という職のロマンを投影しているのが巧み過ぎて。
そもそもあんなにも美しく終わった与の物語の続編を描くことに怖さや迷いはなかったんだろうか?と結構びっくりしたんだけど、谷川先生の中では与の時間が動き続けていて諏訪内さんとの思い出や断ち難い気持ちを抱えながら生きていて、白石くんと出会う……ってシナリオが進み続けていたのですね。そしてそれを読むことが出来ることがとても嬉しい。
長い歴史や壮大な物語を描く大作にも憧れるけど、小さな愛しい世界を最小単位の関係性の経過時間で表現するオムニバス連載もたまらない魅力があるなぁ。谷川先生の世界をずっと好きでいたいし、堂々とそう言える誠実な自分で在りたい。

追記:そういえば3巻で与がカナちゃんに自分の気持ちを懺悔みたいに告白するシーンがあったなぁと思い出して読み返してこの2組(3組)がそれぞれ過ごした年月があっての新エピソードなのだなぁとしみじみ感動してしまった。オムニバスだけど単話読み切りでもなくて、交差して続いている世界なのがいい。
#まんが

『クジャクのダンス、誰が見た?』
引っかかっていることメモ
※ネタバレ考察

・染田のラーメンの味が変わったことと赤沢が妻から自販機に売ってない水を持たされていることの関連性→小麦の心因性の問題で味覚が感じられなかったのか本当に味が違っていたのかどうか
・阿南の父の本妻の子は警察または法曹界にいるのか→阿南の父親は鳴川?
・鳴川は偽物→根拠は名刺
・遠藤友哉を騙した女性記者のその後

たたむ


#まんが

『クジャクのダンス、誰が見た?』5巻
面白いマンガを嗅ぎつける能力が高いと自負してはいるけれどそれもこの作品と出会えたからこそ言えることで。いや本………………っ当に面白いし巻を増すごとに疑心暗鬼になっていくこの感じが堪らない。ここまで質のいいクライムサスペンスって何を摂取したら思い付くのかが知りたい。イチケイのカラスも毎度悶えながら読んでたけど。
濃度がすごいので新刊が出るたびに1巻から読み返して見落としはないか探るけど全然見えてこないしその気味悪さや不安が気持ちいいまである。山下親子を軸に色んな出生や死のエピソードが絡むし警察の闇にジェンダーロール、パワハラモラハラと盛りだくさんな中で鳴川さんのキャラがひたすら明るくてよかった。
すべて知ったからといって楽になったりはしない、って真理だよなぁ。それでも真実を知りたいというのがニンゲンの矛盾なんだろうな。
あと地味にお嬢(この呼び方でいいんだ!?)がこの先パラリーガルを続けていくのかそのための復学や転学があるのかも気になる。
法曹界を舞台にしたフィクションもかなり楽しんできたけど、どの作品からも「生きていくためには“正義”に殺されないための“正しさ”を確かめねばならない」ってメッセージを受け取った。しらんけど。
あと何度でも言うけど志賀廣太郎さんが存命でないことが悔やまれる、実写で観たかった。
#まんが

『無能なナナ』12巻
アンチ能力の能力バトルが相変わらず面白いな。自分の死の状況を冷静に受け入れつつ回避して最適解を導き出すという過程にも読者として慣れてきてしまった、いい意味でテンポよく死んでる。
人智を超えるパワーでどうにかしてしまう物語があまり好きではないのだけれど、先日のウェルベルムと同じで、例え異能力であっても能力を超えてどうにかは出来ないからそれぞれの力と知恵を絞って全員が全力でどうにかするというThe少年マンガな展開はヤッパリいいなあ。シン・ゴジラなんかもそうだよね。技知体気コネ金のちからをフルに全員が使ってラスボスを倒すのってやっぱエンタメの最高潮だし。
そしてリンの過去がまた重そうでどこまでエグいエピソードをこの世界に反映するんだ。楽しみ。悪趣味。
あとタイトルに反してこのマンガには無能な人物なんて一切いないし、それはこの現代社会も実はそうなんだけどっていうアカデミックなことを思いつつ、それでも能力者全員が悲劇を背負って生きてきたわけじゃない中で特権意識を持ってた奴らに正しさを問うって図式は何だかすごく時勢っぽいというか(誹謗中傷してたSNSアカウントやコメ民の開示請求をしたら生活困窮者で、自分で自分をどうにかしようとはせずに富裕層や幸福な人物を攻撃する構図のアレ)まぁ自分よりも幸福なひとを妬むっていうのは人類の理だし、それを理解していながら自分の幸福を噛み締めて生きてる己の性格の悪さは否定しません。
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『ウェルベルム』6巻
梨々花ー!沖ー!正月ーーー!
対戦相手やゲーム運営など相手をどうにかしたい気持ちは描かれても、基本的にみんな生きたいひとなので、思惑は真っ向対立していてもウェルベルムに参加することに前向きなんだけど、そのせいで疑いが欠如してて悲劇を生んでるのが悲しすぎる。イメージによる延伸距離に言及した沖がタイムリミットを具体的に5日とか言っちゃったらアカンやん、どうして……とか気になったんだけど、これで沖みたいな気持ちいい子が支配人だったら泣くし仲間裏切りパターンはもうお腹いっぱいなのでどうかケイジたちと最期まで戦い抜いておくれよ。しかし燃やすの能力が人体に効かないのはおかしくないかね?心理状態には作用しそうだけどなー。闘志を燃やすとか言うし。
しかし何も知らないでゲームに巻き込まれる、ってのがそもそも壮大な伏線だったわけだけど、それにしてもルール追加が多すぎて複雑になっていくデスゲームのバトルシーンは確認作業で脳が疲れるね。心地良い疲労だけど。
#まんが

『初恋の世界』14巻
薫と富子それぞれ親になろうとしているふたりたちの心理描写が胸に迫るし、その合間に差し込まれる修子の葛藤や香織の不穏因子にドキッとさせられる。登場人物全員に尊敬できるところと許せないところがあって、後者は自分の鏡なんだろうなぁと考えちゃうくらい人間がしっかり描かれているし、もう14巻という気もまだ14巻という気もする。薫と穣と大家さんなら絶対にタロくんを幸せにできるよって応援する一方で現実にはどうにも出来ない実子養子の問題があるので、ファンタジーで済ませず残酷な現実もしっかり描いてくれるのが西先生だし……って期待してもいて、とにかく続きが待ち遠しい。
みんな幸せに生きてくれー。
#まんが

『ババンババンバンバンパイア』7巻
新キャラが出るたびにみんな魅力的なんだけど隊長もまた愉快でダンディで何より強いしモリランを追いつつ生かしてる坂本の立場が危うくなる展開がおもしろいなぁ。コーヒーのくだり最高だったしキッチンカーで全国回りながらバンパイア討伐って設定がすごくいい。あと長可がひたすらかわいい。
#まんが

『デブとラブと過ちと!』8巻
新刊出るたびにかわいい幸せしか感想が出てこないし登場人物は基本みんな善人でハッピーなのに記憶喪失と事件については相変わらず不穏だしどんどん血なまぐさい証拠とか出てきて本当に何なのだ……?
玉ちゃんの「信じられない」に出来るって信じてたって返す夢子がかっこよすぎる。松陰寺くんの折れなさも夢子イズムなんだろうけどそこは一旦引こうよ!って笑っちゃった。どんより落ち込むより前向きで元気で好感は持てるけど。ラムネチップスとか玉ちゃんの新商品とかドラマ化に合わせて発売したら食べたかったなぁ。ドラマ自体はタイミング合わなくて見れてないんだけどね。
#まんが

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